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講堂朝礼〜生徒へのメッセージ〜

Messages for Students

第1学期 始業式 「沖へ漕ぎ出す」 校長 古賀誠子

寒い冬に耐え、4月、一斉に桜の花が咲き誇りました。毎年のことですが、美しい薄桃色の花がずっと続いていてほしいと思います。桜は、すでに葉桜に変わりはじめ、新緑の季節に向かって準備を始めました。人間だけでなく、植物もまた1年の歩みを始めます。本日の聖書の言葉、あらたに「沖に漕ぎ出す」のです。

この季節になると、思い出すことが一つあります。今からおよそ10年前のことでした。英語のネイティブスピーカーの先生を学校は探していました。当時、私は、英語科の主任でしたので、その時の校長先生と共に、履歴書が送られてきた先生とオンラインで面接をしました。NZの方でした。大学を出たばかりの21歳の先生でした。とても明るく、元気をもらえるような先生でしたので、きっと生徒にも、よい影響を与えるだろうと思い、「この先生に是非、海星に来てもらいたい」と校長先生にお願いしました。校長先生にその願いをかなえていただき、その先生は海星にこられることになりました。しかし、よく考えてみると、彼女の立場から考えたら、不安だったでしょうね。オンラインで面接を受け、行ったこともない海外の学校に、はるばるニュージーランドから一人でやって来る。知っている人もいない。わたし信用してもらっているのかしらと思ったことがありました。できるだけ、彼女が不安を感じないようにと、アパートを準備し、生活用品を準備し、私にできることはしました。ネームプレートを持って、空港で彼女を探しました。はじめて会ったとき、思わず、「よく来れたねー」と言ってしまいました。その時、笑いながらも、彼女が言った言葉、「正直、怖かったよ」

彼女にとって、今日の聖書の箇所通り、「沖へ漕ぎ出す」ことと同じ、大きなチャレンジだっただろうと思います。とても勇気のある方です。彼女は私が期待した通り、とてもよい仕事をしました。私のよきチームパートナーでした。今、これだけドラマの授業が発展しているのも、彼女がその土台を作ってきたからだと思っています。大学をでたばかりの新しい先生を迎えるとき、指導教官がついて、教案を作って授業をします、そして授業内容のチェック、試験問題のチェック、研究授業の実施などを行います。私は優しくないので、彼女が途中で、音を上げるのではないかと思いましたが、前向きによく頑張ってくれました。素直で、従順で、自分の成長を大事にしている先生でした。7年間お勤めになられました。お国に帰りたいというお話を受けたとき、本当にショックでした。そのとき彼女は私にこう言いました。「わたしはずっと成長し続けたい。階段を一つ上って、そこから新しい景色を見てみたい」つまり、彼女はさらに沖へと漕ぎ出していったのです。今は、本校の姉妹校であるハミルトンガールズで教鞭をとられ、本校の留学生を支えてくださっています。赴任して間もなく、いろいろな部署で主任を務めて、活躍されていると聞いています。

「沖へ漕ぎ出し、網をおろして魚をとりなさい。」

これはイエスが、夜通し働いても何も取れず、疲れ切っていたイエスの弟子・ペトロに語った言葉です。もう十分努力した。結果も出なかった。これ以上やっても無駄かもしれない――そんな思いの中で、イエスは「沖へ漕ぎ出しなさい」と言われました。

「沖」とは、岸辺よりも深く、不安も大きい場所です。足がつかない場所です。自分の力だけでは、流れをコントロールできない、心もとない場所です。しかし、そこにこそ大きな実りが備えられていたのです。

皆さんにとっての「沖」とは何でしょうか。今は、苦手な教科に挑戦することかもしれません。新しい友人関係を築くことかもしれません。部活動でステップアップ、一つ上を目指すことかもしれません。あるいは、これまで目を背けていたけれど、自分の将来について真剣に考え始めることかもしれません。

私たちは、つい安全な岸辺にとどまりたくなります。失敗したくない。恥をかきたくない。失敗によって、傷つきたくない。それだから、限られた同じ空間の中にとどまりたいという願望が働きます。しかしながら、刻一刻と、卒業の日は近づいてきています。桜の木が新緑の季節に向かうように、思い切って、新しい一歩を踏み出さなければ、新しい景色を見ることはできません。卒業してから、新しい景色を見ることを期待するのではなく、高校生のうちから、いろんな景色を見てみてください。そうすれば、卒業するときに、自分のなすべきことを確信して進路を定め、そこから大きく「かわる」ことができ、あなたの人生はより豊かなものとなることでしょう。

ペトロは、「何もとれませんでした」と言いながらも、「お言葉ですから、網をおろしてみましょう」と応えました。そこには、イエス(神)に対するペトロの信頼があります。そして、その一歩を踏み出すということを選んだ、ペトロの従順さと勇気が、思いがけない豊かな実りにつながったのです。

第1学期は、長い一年の土台を築く大切な時期です。結果を恐れるよりも、挑戦する姿勢を大切にしましょう。失敗は恥ずかしいことではありません、挑戦した証しです。何度でも、何度でもやってみてください。皆さん一人ひとりの中に、まだ引き出せていない可能性が眠っています。どうかこの1年、「沖へ漕ぎ出す」という言葉を意識して、学校生活を送ってください。より深いところへと一歩踏み出してみましょう。きっと、これまでとは違った景色が広がって、あなたの人間の幅を広げることでしょう。

今年も、海外派遣・受け入れを含め、様々なイベントを準備しています。どうか積極的に参加してください。その先には、皆さん自身もまだ知らない豊かな実りが待っているはずです。

新しい歩みの上に、神様の祝福が豊かにありますように。

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